喜撰法師は、平安時代の僧侶で、六歌仙の1人です。
生没年が未詳の人物で、情報が少なく、それゆえに紀貫之の別名といった説まで浮上していました。しかしながら、『無名抄』には、宇治市御室戸の奥には、喜撰の住みなした住居跡があり、歌詠みは見ておくべき、といったお話が残されています。
その著名な短歌が起源となって、喜撰が茶の隠語となったり、宇治茶の銘柄名となったりするほど、和歌などには影響力を有していました。
わが庵は都の辰巳しかぞすむ世を宇治山と人はいふなり
喜撰法師『小倉百人一首』
:我が庵は、都の東南方向に位置している。このように住んでいるというのに、世をつらく思い逃れ住む宇治(憂し)山、と世間の人は言うのだ。