枕詞とは、特別な名詞等にかかったり、その名詞への関連が推測されたりする、主として五文字の言葉です。必ずセットで出てくるか、または関連語と繋げられて出てきます。
枕詞には、特定の名詞を導く以外に五・七・五・七・七の長さに対応できるほど内容が足りない際、定型詩として短歌の体裁を整える機能が有ります。
最も初期の和歌というのは、長歌や船頭歌などといった、五・七・五・七・七の定型詩ではない形式のものだったので、掛詞によって、歌らしい形式が整えられる場合も多くありました。
例.
ひさかたの…光の枕詞
ひさかたの光のどけき春の日に しずこころなく花の散るらむ
例.
あをによし…奈良の枕詞
あをによし奈良の都は咲く花の 匂ふがごとく今さかりなり
枕詞には諸氏族が割拠していた奈良時代以前の詞が多いため、今となっては意味の解らない言葉もありますが、枕詞がかかるところの現代語に繋がっている名詞に関連している、または同様の意味といったかたちで押さえておきましょう。