『万葉集』は現存する最古の和歌集です。数多くの歌人による、およそ4500首もの歌が収録されています。
『万葉集』は7世紀後半から8世紀後半くらいにかけて編まれ、大伴家持が主たる編纂者であったのではという説が最有力となっています。大伴家持は身分が高かったのですが他氏排斥に遭うなどし、薩摩国や東北地方といった当時の国境ラインに赴任させられる人事に遭い、結局大伴氏が朝廷から排斥されたため、どのように『万葉集』が出来上がったのかについては、あまり明らかな記述が残されなかったように捉えられています。
万葉集は、中国大陸の文化や人々、諸豪族の連合政権の名残りなどの影響による、おおらかな益荒男(ますらを)ぶりが特徴であるとされます。
古今和歌集に比べると、男性的で、感情がストレートに表現されているという評が現代ではなされる場合があります。技巧に走らず自然に一致した生活感溢れる歌や、山上憶良などの貧窮問答歌に代表されるような社会の風刺までもが含まれています。
万葉集に収められた和歌には、消息を聞きあうという意味から恋に関する歌という意味である相聞歌や、知り合い等が亡くなった後、その死を悼んで詠む哀傷歌であるところの挽歌、四季や旅などがテーマの雑歌、防人歌、東歌などがありました。