和歌の題材や詩情における、初期の定型を歌枕といいます。
後には、歌枕をある程度分類したり集めたりした書物のことを指すようになりました。
そしてさらには、和歌に詠まれる旅情溢れる名所のことも指すようになりました。
例.
田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける
山部赤人『万葉集』
:田子の浦を通り、広々とした場所へ出たら、真っ白なほど、富士山の頂上付近に雪が降っていることだ。
田子の浦が駿河にある歌枕として使用されました。『田子の浦ゆ』の『ゆ』は、古文文法の格助詞で、動作の通過点といった意味を持っています。