掛詞ともいい、1フレーズに2つの異なる意味を持たせたり、2通りの意味のある複数のフレーズを上の句にも下の句にもおくなどして呼応という形の因果関係を持たせたりする、高度な歌作りの技術です。
懸詞は同音異義語を上手く利用することで、内容を深く広くし、グッと高度な歌にする修辞法です。
例.
こぬ人を まつほの浦の 夕凪に 焼くやもしほの 身も焦がれつつ
藤原定家『小倉百人一首』
:松帆の浦の夕凪の頃に焼く藻塩のように、来ない人を待って、我が身は焦れていることだよ。
例の短歌においては、『まつ』が掛詞になっています。
『松』と『待つ』の両方の文脈が1つの短歌に宿り、意味が深まるだけでなく、機知により、読む人を楽しませることもできます。